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『ヒロシマナガサキ』 [映画・DVD]

『ヒロシマナガサキ』 2007 アメリカ
製作・監督・編集 スティーヴン・オカザキ

14名の被爆者と原爆投下に関与した4名のアメリカ人の証言を軸に、核兵器の脅威へ警鐘を鳴らすドキュメンタリー映画。

被爆者が被爆の体験を語ることは、どれだけ体力を消耗し、精神的苦痛を伴うものであろうか。被爆直後の凄惨な街の様子、亡くなってしまった家族への思い、治療の痛み、被爆者への差別。それでも語ってくださったことにまずは感謝したい。

私にとって最も印象に残ったのは、治療の様子を映した資料映像。
何人かの証言者が、自身の受けた傷や被爆当時の治療の様子を語り、その後に当時の治療の様子が映された資料映像や写真が挿入されるのである。一人ひとりの証言を聞くだけでも、被爆者というひとくくりではない一人ひとりの人生を感じられるのであるが、当時と現在のひとつながりの時間の経過をこうして見せられると、その人の人生の重みがより強く感じられた。

そして、被爆後治療を受ける少年時代の吉田勝二さん(証言者)の資料映像と、着物姿の女性の写真は、私の記憶に強く訴えかけた。この二つを見た瞬間、「小学生時代、小金井公会堂で見た」という記憶が鮮明によみがえったのである。
これらはアメリカ政府が記録として残していた映像や写真であり、戦後、時を経て公開され、原爆についての写真集などにもおさめられているかと思うが、私が当時見たのはおそらく、記録映画『にんげんをかえせ』の中でだったのだと思う。
この映画『ヒロシマナガサキ』が、自分の中に眠っていた戦争についての記憶(戦後生まれなのでもちろん直接の体験ではなく、五次的、六次的な記憶であるが)と現在とを結びつけてくれた。

この映画を観た直後にたまたま読んだ本*1で知ったところによると、着物姿の女性は沼田鈴子さんという広島の語り部の方で、『にんげんをかえせ』の中に自分の姿があるのを見て、語り部となることを決意されたそうである。

映画の冒頭、1945年8月6日・8月9日に何が起きたかを知らない若者たちの姿を挿入したオカザキ監督の意図を、真剣に受け止めたい。
そして、語ってくれている被爆者の方、語れずに亡くなった方、今なお語れずにいる方、たくさんの方々に思いを馳せたい。


*1 斎藤貴男, 知念ウシ, 沼田鈴子, 広岩近広 著 『あなたは戦争で死ねますか』 日本放送出版協会 (生活人新書) 2007.8


あなたは戦争で死ねますか (生活人新書 230)

あなたは戦争で死ねますか (生活人新書 230)

  • 作者: 斎藤 貴男
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本


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